*「実家の茶の間」 新たな出発(5)*
<「当番研修」を終えて 決断の時③>
―5日からの昼食再開へ 最後の準備―
―「みんなの力で、また一つ階段上がれた」―
<「万全の上にも万全を」>
6月最後の運営日となる30日(水曜日)午後、新潟市の「実家の茶の間・紫竹」には、いつもと違う雰囲気があった。参加者が寛ぐ座敷ではお年寄りらがいつものように憩っているのだが、運営委員会代表の河田珪子さんをはじめ、茶の間のまとめ役であるお当番さんたちの表情に、どこか高揚感が宿っているように感じた。
写真(左)=6月30日の「実家の茶の間・紫竹」の風景。いつもより動きが多い感じだ (右)=座敷では寛ぐ人がいる脇で当番さんが淡々と作業中。茶の間で扱うお札をアルコール消毒し、帳簿に記入する当番さん
河田さんは「みんなの力で、また一つ階段を上れました。今日も参加者は午前・午後で28人ほど。大体、いつもこんな感じね。これがお昼を出すようになると、どうなるかしら。お昼が込み合わないよう、事務室なども有効活用して、衛生・安全には万全の上にも万全を期さないと。今はおかずの取り回しができないので、かわいいお膳を用意しました。当分はこれでお運びします。お当番さんらみんなも『これで運ぶのがいい』って、言ってくれていますから。後で、もう25ぐらい買い増しておかないとね」と、小さ目のお膳を前にして語った。
<食器の煮沸消毒もOK>
2週間ほど前の14日(月曜日)、河田さんはお当番さんと相談し、懸案だった「お昼の復活」を7月から実行することを決めた。茶の間の運営時間もコロナ前と同じ、午後4時までに1時間繰り下げ、参加費・昼食代もそれぞれ300円と以前の形に戻していく。今の参加費が200円なので、負担感を和らげようと利用回数券(6枚で1500円)を再発行することにもなっていた。この日は7月を前にお当番さんが顔をそろえ、「昼食復活」へ最後の段取りを確認する日でもあった。
写真(左から)=調理室で食器の煮沸消毒をする片山ミキエさん(左)と渡部明美さん。食器の煮沸消毒の様子。きれいに並べられた消毒済みの食器
調理室では、お当番さんのまとめ役、片山ミキエさんと渡部明美さんが食器の煮沸消毒に余念がなかった。「丸一年以上使っていなかったので、食器はこの際、全部煮沸消毒します」、「もう、大体終わりね」と、二人は教えてくれた。お昼は「具だくさんのみそ汁」がメインで、栄養面を考えて20品目以上の食材を使うことにしていた。「野菜などは日曜日に買い出しして準備します。お昼の復活を期に、これまでの五合炊きの電気釜から二升炊きに替えることにして、これもサポーターの武田實さんと島貫貞夫さんが日曜日に買ってきてくれる段取りになっています」と河田さん。
<地域には情報を事前に伝達>
実家の茶の間を集会場所としてよく利用する自治会・老人クラブなどにも、7月からの変更事項を伝えた。その役は、実家の茶の間の向かいに住んでいる片山さんが務める。「もう、すべて伝達済みです。昼食の復活に反対する方はいませんでしたが、自治会の役員の中には『お昼始めて、ホントに大丈夫らんけ』と心配してくださる方もいらしたので、衛生面にとことん注意をしていくことを具体的にお伝えしました」と片山さん。河田さんは、その話を聞きながら「心配してくださるのは、ありがたいわね。自治会なども、ここを利用する時はみんな、昨夏から検温などの感染防止対策を取り、うちの衛生・安全面のやり方を踏襲してくれています。それも自治会や老人クラブ・こども会などが実家の茶の間を『大切な場所だ』と思ってくれているからですね」と応じていた。
写真(左)=調理室の壁に貼られた調理の諸注意 (右)=6月までの「当番さんの動き」の表。7月からは書き換えとなる
地域の組織以外にも、交流のある江南小学校や沼垂小学校、みたけこども園などにも6月中に連絡を終えた。実家の茶の間では、子どもたちとの交流をずっと大事にしており、ことあるごとに連絡を取り合う関係ができているのだ。
<青空記者の目>
こうして、実家の茶の間は6月最後の運営日も無事に終えようとしている。河田さんたちは、5月下旬に開いた「令和3年度 当番研修」を一つのきっかけとして、「実家の茶の間をできるだけコロナ前に戻していく」取り組みを前進させた。
実家の茶の間では、参加者が穏やかに寛ぐお座敷の脇で、帳簿整理やコイン・紙幣の消毒などの実務が淡々と進められ、事務室では次の展開に向けた段取りがテキパキと行われている。自主的に動いているお当番さんの報告を聞きながら、河田さんは「お昼が復活しても、当分は黙食ですね。だから、これまでお弁当を食べる時に流していたBGMも継続ね。いいCDあるかしら」と語り掛ける。
「実家の茶の間・紫竹」は、絶妙のチームワークでコロナ前の姿を取り戻そうと前進を続けている。今度の運営日は7月5日(月曜日)。「お昼」が復活する日だ。
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